ドカン

千葉から来た五十路手前くらいの上司と飲みに行った。
なけなしの愛想笑いと搾り出すような相槌を繰り出している間にどうにか相手の気分も盛り上がり、やがて話題は「近頃の若いモンについて」というキングオブザリアクションの取り辛い話、略して金妻に。
目の前で「俺の若いころは…」とセピア色の思い出をとくとくと語りだす五十路前。どうやら若者がちょっと問題を起こしただけですぐニュースになる、やんちゃを許さない現代社会に寂しいものを感じているご様子。


「俺の小さい頃はさ、いろいろやんちゃな事やったよ。
 河原に秘密基地作ったりとか、今の子供達やんないでしょ?
 うちらみんな秘密基地作ってたもの。なんか汚いエロ本とかかき集めてさ。
 で、そのうち他の秘密基地の奴らと基地の取り合いになんのよ。戦争ね。
 基地見つけだして荒らしたり、石とか犬のフンとか投げ込んだりさ、
 爆竹の火薬集めてさ、新聞紙でちょっとおっきめ(*注1)の爆竹作ってさ、
 それをまた秘密基地に投げ込んだりさ、そんでまた喧嘩になったりさ…」


うっとりとした表情で延々と続くセピア語り。周りの中年たちも「あー、そういうの、やりましたねぇ…」なんてうなづきながら聞いてるんだけど、僕は見逃さなかった!
(*注1)で「ちょっとおっきめ」と手で広げて見せたそのサイズが優に30センチはあったのを見逃さなかった!
つうかそれはもはや「おっきい爆竹」じゃなくて「普通に爆弾」だと思うんですけど。
基地も子供も吹っ飛ぶと思うんですけど。
やっぱり千葉はデンジャラスシティ!ヤンキー大国は伊達じゃないですよね!




なんてうっかりツッコんでしまったのがまずかった。ホントまずかった。