ぎゅんぎゅん

学生のころ、気の合う仲間とバンドをやっていた。
そのバンド名は四次元ズ。
四人いたから四次元ズ。
五人いたなら五次元ズ。
スタジオ借りて練習行って、ギターをぎゅんぎゅん掻き鳴らして、ドラムをどこどこ叩きまくって、ベースがでろでろビートを這って、


ぎゅんぎゅんどこどこでろでろぎゅんぎゅん、
でろでろぎゅんぎゅんどこどこでろりろ、
でろりろずがががどっこんぎゅいいいん、


遠い国で飛行機がビルに突っ込み、
英雄と謳われた男の娘が拘束を受け、
モジャ毛の将軍が核兵器をしこしこと作っている丁度そのとき、
僕達はわけもわからずただぎゅんぎゅんいってた。



まあ、最高にロックだった。



春が来てスーツを着て、それから3年経った。


僕は今でもあの感覚を覚えている。
絵を描くことで、なんとかあの感覚を表現できないかと思ってる。
ぎゅんぎゅんぎゅるりとベジェを走らせ、
どこどこだだだんと色彩をのせ、
でろでろでろりと背骨を与え、形を整え、気持ちを入れて、すこし汗ばんで、結局ずっと考えてる。
みんなそれぞれに就職し、夢を追い、離れ離れになった今もずっと、僕は考えている。